INTRODUCTION
工場から金融、そしてみかんへ。
一本の軸で繋がるキャリア
FA(工場自動化)、金融システム、会計、そしてみかんの選果機。一見バラバラに見えるこれらのキャリアには、実は共通する一本の軸があります。
それは「データを使って、複雑な判断を自動化・最適化する」ということ。
工場ではセンサーのデータから製造工程を最適化し、金融では市場データから取引判断を自動化する。会計システムでは経営データから意思決定を支援する。そして選果機も同じです。みかんの表面をセンサーやカメラで読み取り、そのデータを統計的に処理して品質を判定する。
データを取って、処理して、判断して、お金の流れまで最適化する。これが私たちの仕事の本質です。
REGIONAL ISSUE
地域産業が直面する
構造的な課題
和歌山、特に有田地域にとって、柑橘産業は経済の根幹です。しかし今、この産業が大きな岐路に立っています。
それが「選果場の設備更新問題」です。
選果場とは、農家さんが収穫したみかんを集めて、品質ごとに選別し、箱詰めして出荷する施設。ベルトコンベアに乗せたみかんを、センサーやカメラで測定しながら自動的に仕分けていく大規模な設備です。
問題は、多くの中小規模の選果場が、この投資に耐えられないこと。設備が老朽化しても更新できず、廃業を選ばざるを得ない事業者が出てきています。
WHY IT MATTERS
なぜ複数の選果場が
必要なのか
「大手に統合すればいい」という意見もあるかもしれません。
しかし、地域に複数の選果場が存在し、適度な競争環境があることは非常に重要です。一社独占では、農家さんの選択肢が失われ、市場が不健全になります。価格交渉力も失われます。
地域に根ざした複数の選果場が共存できる仕組みを残すこと。それが地域の多様性を守り、健全な競争環境を維持し、地域経済の強靭さにつながります。
REGIONAL STRENGTH
有田の柑橘産業が持つ
独自の強み
この地域の柑橘産業には独特の強みがあります。
WHY NOW
なぜ今なのか
─ 技術の転換点
この選果機の課題は、今日に始まった話ではありません。会社設立当初から、地域の関係者の方々に何度も「どうにかならないか」と声をかけられてきました。
しかし正直に言えば、当時の技術では無理だと思っていました。
従来の画像処理技術では、みかんの微妙な色の違いや傷を正確に判定するのに限界がありました。人間が細かく特徴を定義しきれない部分が多すぎたのです。
TECHNOLOGY SHIFT
AI技術の革命的進化
しかし、ここ数年で状況が劇的に変わりました。AI技術、特に画像認識と処理能力の分野で、革命的な進化が起きたのです。
最新の技術では、大量のみかんの写真を見せれば、AIが自分で判断基準を学習します。人間が細かく特徴を教える必要はありません。
また、複雑な判定ロジックも、最新の言語処理技術を使えば、驚くほど効率的に実装できるようになりました。
これは、まさに情報産業における産業革命です。5年前には「無理」だったことが、今は「できる」に変わった。この技術の転換点が、このプロジェクトに本格的に乗り出した理由です。
SOLUTION
解決のアプローチ
─「頭脳」と「身体」を分けて考える
従来の発想は「設備が古くなったから、丸ごと買い替える」というもの。ベルトコンベアも、センサーも、制御装置も、すべて一式で億単位の投資です。
しかし、本当にすべてを買い替える必要があるのか。私たちは選果機を「物理的な身体」と「電子頭脳」に分けて考えました。
仕分け機構
判定コンピュータ
刷新する
実は、頭脳が高度化すれば、身体はむしろ簡略化できます。従来のシステムは、センサーの性能が限られていたため、複雑な機械的機構で補っていました。しかし今は、高性能なカメラとAI技術によって、画像処理だけで精密な品質判定ができます。
既存のベルトコンベア(身体)はそのまま活かして、安価で汎用的なカメラとコンピュータ(頭脳)だけを新しくする。これによって、初期投資を劇的に抑えることができます。
ROLE DIVISION
なぜ選果機メーカーではなく、
私たちがやるのか
「それなら、従来の選果機メーカーがやればいいのでは?」という疑問があるかもしれません。
これには産業構造の変化が関係しています。これまでの選果機業界は、いわゆる「垂直統合」の構造でした。しかし、どの業界でも技術が進歩すると、次第に「水平分業」へと移行していきます。
選果機メーカーの技術室長の方と協議した結果、判定エンジンの部分は私たちTechnologyDockが担当し、機械部分は選果機メーカーが担当するという役割分担になりました。「餅は餅屋」です。
CURRENT STATUS
プロジェクトの現在地
現在、このプロジェクトは具体的に動き始めています。
まだ稼働には至っていませんが、構想だけで終わらせるつもりはありません。必ず形にします。
WHY WAKAYAMA
なぜ和歌山でやるのか
私はシンガポールで金融の仕事をしていました。グローバルな環境で、最先端の技術に触れる機会もありました。
それでもなぜ、和歌山に戻ってこの仕事をしているのか。
それは「抽象論だけでは社会は活性化しない」と考えているからです。
PHILOSOPHY
具体的な変化を、
身近な場所から
理論や技術は確かに重要です。しかし、それを「具体」に落とし込まなければ、何も変わりません。
そして、具体的な変化を起こすには、自分の行動で直接影響を与えられる「身近な場所」が最も効果的です。
自分が生まれ育った和歌山で、目の前にある課題に向き合い、具体的な解決策を実装する。これが私にとって、最も誠実で、最もインパクトのある選択でした。
大規模資本の論理で言えば、「非効率な中小の選果場は淘汰されるべき」となるかもしれません。しかし私は、地域に根ざした複数の選果場が共存できる仕組みを残したい。
最先端の技術を使いながらも、その目的は「地方の健全な循環を守ること」。技術は目的ではなく、あくまで手段です。真の目的は、持続可能な地域社会を実現することです。
PROFILE
代表紹介
神山 裕介
株式会社TechnologyDock 代表取締役社長
FA(工場自動化)・ロボット制御の研究開発、金融システム開発を経て、シンガポールのヘッジファンドにてCTOとして従事。東京大学大学院工学系研究科・松尾豊研究室のAI関連寄付講座修了。ブロックチェーン関連技術にて特許取得。
2021年、和歌山にて株式会社TechnologyDockを創業。AI・データ分析を活用した中小企業の経営支援、特に柑橘産業の構造的課題解決に注力している。
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